ヨーロッパと中央アジアに挟まれたコーカサスの国、ジョージア🇬🇪(旧グルジア)を旅しました。こちらはその旅行記。どうぞよろしくお願いいたします。
トビリシは「混在」が魅力、異文化と時が混じる街
ジョージア旅行中の拠点となった首都のトビリシは、ヨーロッパ的街並みが続きます。ですが目が慣れてくると、その中で景色が変わることに気がつきます。
狭い区域に違う様式の建物が混在していてから、見る場所でヨーロッパのどこの都市をイメージするかが変わってくる。狭いエリアにいくつものヨーロッパの都市が集まっているような感じ。
それがなかなか面白く、トビリシの個性のひとつです。
詳しくはひとつ前の記事をご覧ください。
でもトビリシはそれだけじゃない。混じっているのはヨーロッパだけではありません。
ヨーロッパ、ロシア、イスラム圏と接している土地柄、ジョージアは他の文化圏の国や王朝に支配・侵攻を繰り返し受けた歴史があります。
ヨーロッパ的の街並みをよくみると、その影響が見て取れます。これがトビリシの街を唯一無二にして、トビリシの街の色を作っている!
ヨーロッパとも、中東とも、アジア・ロシアとも一言ではいえないトビリシの街並みに、私は惚れました。
そして異質でトビリシを特徴づけている近未来的現代建築。
他文化と時代が混在する街トビリシ、面白い!
トビリシの街並み、かっわいいペルシア風テラスに惚れる
ジョージアはりヨーロッパねと思った直後前言撤回をすることがあったのは、ペルシア(イラン)建築の影響を見つけた時。
上はトビリシ旧市街地の写真ですが、ガイドブックには山肌の建物のことを「ペルシア風のテラスを備えた木造の家々」と書かれていました。近年修繕が進んでいるそうですが、1911年の写真を見ると今も雰囲そのままなのがわかります。(参考:ウィキペディア)
旧市街地のものに似た規則的な柱のテラスは、大小問わずトビリシ各所で見かけました。それだけではなく、ペルシア風テラスの柱を模したような外観の建物もいくつもありました。
テラスに使われている素材は金属もありましたが、ガイドブックにあるように木で作られたものも多々。木材は経年変化が助実に現れるので、街に時間の経過を視覚的に付加。これが街に趣とクラシカルな雰囲気を添えていました。
石造りの建物から張り出すテラスだけ木材だったり、テラスに使われている装飾が木材を使用しているもの。ペルシア風テラスは木のイメージが残っています。
ペルシア風テラスを縁取るアラベスク的レース模様の装飾
ペルシア風テラスを彩る装飾がこれまた美しい。
シンプルな柵のものもある一方で、少なからずレースのような装飾のあるテラスもあり、視線が引き寄せられました。
ペルシア風テラスは、規則的に並ぶ柱とアーチがモスクの回廊のよう。キリスト教教会の回廊よりもモスクを思い浮かべるのは、レースの装飾がイスラム模様のアラベスク模様のようだからかもしれません(参考;ウィキペディア)。
ジョージは大国に挟まれた国、大国の支配を度々受けた歴史があります。
ローマ帝国、ペルシア、アラブ、モンゴル、トルコ(オスマン帝国)、ロシア。世界で二番目にキリスト教を国教とした国ですが、時代を変えて数度イスラム圏の支配を受けています。
ある建築家のブログには、ジョージア各地で建物はそれぞれ違うけれどレース模様の装飾がある木造テラスはジョージアは全土で見られる様式だとあり、彼はこれをジョージアの昔ながらの建物に分類していました。特にシグナギに多く残っているそうです。(参照: Happy Frog Travels; Architecture of Georgia Through the Centuries)
実際、ペルシア風テラスはトビリシだけではなくトビリシ近郊の古都ムツヘタ、ジョージア第三の西の都市クタイシで私も目にしました。トビリシではエリア関係なく見かけたし。
ペルシア風テラスは、トビリシにも土着化している様式なのかもしれませんね。
ペルシア風テラス(とそれを模した建物の外観)が、ヨーロッパの街並みにとどめず、トビリシ独自の街並みを作っている。
色使いがパステルトーンのことも多かったペルシア風テラスは、軽やかで可愛らしく、異国風。
トビリシのイスラム圏支配の歴史であり、街を可愛らしく唯一無二に彩る要素でした。
もう一つの歴史、旧ソ連時代の四角い建物郡
30年前までは旧ソ連であったジョージアには、ソビエト時代(1922〜1991)の建物がたくさんあります。
少し郊外へ向かうと突然ニョキリと顔を出す四角いビルもそのひとつ。
旅行から帰宅後、妹しろにトビリシの街の印象を聞いてみたら、「一見ヨーロッパ」の言葉の後にこの旧ソ連時代の建物の話をしていていました。印象深かったようです。
上の写真はトビリシの目抜き通りルスタヴェリ通りにある、ソビエトモダニズム建築の旧中央郵便局と電信局。ホテルにリノベーションされる予定の建物です(参考; Agenda.ge: Tbilisi iconic Soviet-era building to become Telegraph hotel with €15 mln investment)。
この建物のように、旧ソ連時代の建物をリノベーションしてホテルなど新施設として使っている建物の話をいくつか聞きました。
トビリシの人気ホテルStanba Hotel(スタンバ ホテル)や、ノマドの聖地で世界中の若者が集うFabrika Hotel(ファブカ ホテル)もそのひとつ。
観光客として訪れる機会がある場所に旧ソ連の建物が使われているのが、旧ソ連のジョージアならではのこと。日本やアメリカに住んでいるとまずないことだから。
自由が抑圧された時代、スタンリー様式の建物
奥に映る鏡ばりの建物がThe Biltmore Tbilisi Hotel (ザ ビルトモア トビリシ ホテル)。左右に映り込む建物もソ連時代のものです。
LAに戻ってから知ったのは、スタリーリン政権下時代のスターリン様式(特に1933〜1955年)。スターリン政権下では建築家が自主的に組織を作ることは禁止され、建築に関する検閲もありました。
左右対処で権威的な建物に重きが置かれたこの時代、1938年に建てられたのがトビリシのランドマーク的建物のひとつ、 The Biltmore Tbilisi Hotel (ザ ビルトモア トビリシ ホテル)のロビー部分にあたるIMELI building (建築当時1938年の写真 →Wikipedia)。
トビリシの目抜き通りルスタヴェリ通りに面しているロビー部分は、鏡張りタワーの未来感とは正反対。柱が印象的なクラシカルな建物で、この部分がスターリン様式の建物です。
お友達が教えてくれて、「そうなんだ〜」と見た記憶あり。写真はありませんが、トビリシの旧ソ連時代の歴史を垣間見れる建物です。
トビリシに突然出現する前衛的な建物やレリーフ
トビリシに残る旧ソ連時代の建物の中には、前衛的な建物も多くあります。
このご時世もあって、ロシア(正しくは旧ソ連ですが)を求める気持ちがなかった我が家。あえて見に行くことはありませんでしたが、個性的な旧ソ連時代の建物がトビリシには多々。
カサブルータの 記事”旧グルジアで見つけた謎のソ連建築を追え。“によれば、スターリン政権下では建築家の表現も左右対称で権威的なスターリン様式が重視されていましたが、1970年代から崩壊までの間は前衛的な建築が花開いたそう。その影響で、旧ソ連だったジョージア・トビリシにも前衛的な建物が残っているそうです。
特に有名なトビリシの旧ソ連時代の建物は、上リンク先のカサブルータスの記事やSNSで#ジョージアと探すと見ることができます。
それ以外でもトビリシの街で不思議な建物や、どうやって建ったのかと思う形をした建造物に出会うこともがありました。上の写真もそのひとつ、これなんだろう?
(ソビエト建築含め写真を掲載されている建築家の方のサイト→Shockie’s Room; トビリシの建築 Part 3。このページはソビエト建築中心ですが他数ページあり。見覚えあるものもありました。見応えあり!)
面白さとカオスを加えるトビリシの近未来的な建物
ヨーロッパ的な街並み。印象的なペルシア風テラス。そしてロシア帝国・旧ソ連時代の建造物。どれもがトビリシの個性ですが、トビリシに衝撃的な印象を与えているのは近未来的な建物です。
ヨーロッパ的街並みに突如現れる鏡張りの建物、ガラス張りの橋。流線や幾何学的な建物は目立つ!さらに建物自体が高かったり高台にあったり、そのものがキラキラしてしているので、より一層目を引きます。
谷に流れる川の周りにできた街トビリシでは少し坂を登れば景色のいい場所にでれることもあって、色々なところから近未来的な建造物を見ることができました。
前衛的な建物は個性的だし目を引きますが、建物の質感は普通なのでまだ街に馴染んでいます。けれど一見ヨーロッパ的な街並みに突如現れる近未来的な建物は、街の景観に馴染むことは一切考えられず作られたのでしょう。
他の街並みとのギャップがすごい!
一見ヨーロッパのトビリシの景観に、不協和音をもたらしている。無秩序、混沌さ。そんなぐちゃりとした空気を加えています。
トビリシに近未来的な建物があると知ったのはジョージアに出かける前、SNSで#ジョージアと調べていた時でした。こんなものをあるのね。面白いね。とは思っていたけれど、古いものが好きなのであまり興味がないままジョージアへ。
ジョージアから戻ってきた今は、無秩序・混沌なんて言っていますが、近未来的建物がトビリシらしいと思っています。これがあるからこそセンセーショナルなインパクトがある。個性的で唯一無二、面白い都市にしていると思っています。
それは、近未来的建物が目がなじんだからというのもあるけれど、近未来的な建物が古い街並みに光を当てて、その価値に光を当てているからかもしれません。
トビリシの街並みは歴史が重なる混在加減が面白い
過去も未来も、西も東も、異文化も混ざっている街並みのトビリシ。
最初は一見ヨーロッパと思ったけれど、歩けば歩くほど思っていなかった異質なものに目がいく。そrがトビリシの個性かと思ったら、そこに歴史が重なっていました。(歴史好きにはたまらない!)
唯一無二。
面白さのあって個性的。
混在する街。
それがトビリシ!
記事内で参照している“地球の歩き方 Plat ジョージア”は、今回唯一購入したガイドブック。
なんせ未知の国。何も知らないところから始まったので、私たちは電子書籍版を購入して事前に読み込みました。ここまで活用したガイドブックは初めて!と言えるぐらい。
言いたいことはあるけれど、足りない部分もありますが、あってよかったガイドブック。これがなかったらどうなっていたことかと思います。
満足できるガイドブックです。
参照
カサブルータス;藤原ヒロシが巡る、ジョージアのビックリ建築とファッション。
Culture Trip; The Most Impressive Architectural Landmarks in Tbilisi
Georgia About; ABOUT SIGHTS – PASTEL COLORED HOUSES AND BALCONIES OF TBILISI’S OLD TOWN
Georgia Travel Guide; Rike Park
Georgia Travel Guide; OLD TBILISI BALCONIES
Wikipedia; Architecture of Georgia
Wikipedia; Iranian architecture
Wikipedia; Stalinist architecture