オランダ土産のチョコレート Tony’s Chocolonely
Tony’s Chocolonely (トニーズ チョコロンリー)
見た瞬間に「なんて可愛いチョコなんだ!」と惹かれたチョコレートが、家族から届きました。Tony’s Chocolonely (トニーズ チョコロンリー)です。
ブルーと赤色、対象色のコントラスト。手書きを思わせる自体。素朴さもありながらポップで今っぽいパッケージ。おしゃれな洋服屋さんにあってもおかしくない、チョコレートらしくない見た目に、一番最初は惹かれました。
そして持って驚くほどのずっしり。厚さがあるので、パッケージに惹かれた人の心をつかみ、見た目より味重視の人の心も惹きつける要素もしっかりあります。ここ、チョコレート好きにはとても大切なんです。
パッケージを開けてみたら、中までかわいかった。完全に、見た目にやられました。
好きだわぁと思いながら、ふと目をお落とした裏パッケージには、英語だから一瞬読めそうと思ったけれど、読めなかったオランダ語?が並んでいました。
雰囲気的にフェアトレードかなと思ってネット検索してみたら、このチョコレート一枚がフェアトレードを超える社会的視点を持っていることを知りました。
家族から届いた一枚のこのチョコレートとこの裏書きが、私のチョコレート人生とただ好きだったチョコレートへ、社会的視点をもたらしました。何より大好きなチョコレートで起きている問題だから自分ごととしてとらえることができ、この問題提起が自分の中に届いて今は居場所を作っています。またこの問題から派生し、類似した問題への関心を高めるきっかけにもなりました。
大きな感銘を受けた、私にとってはどんな高級なものよりも特別なチョコレートです。
フェアトレードを超える、奴隷労働撲滅チョコレート
今回のチョコレート、トニーズ チョコロンリーのスローガンは「Crazy about Chocolate, Serious about People(クレイジー アバウト チョコレート、 シリアス アバウト ピープル(チョコレートに狂っても、人には真摯であれ)」。
私たちが食べるチョコレートのほとんどは、奴隷問題まで関わる搾取のたまものである。みんながハッピーになるチョコレートにしていこうよ!というメッセージがこめられています。
【 チョコレートがかかえる奴隷問題 】
私たちが食べているチョコレートの原料となるカカオ。カカオの60%は、西アフリカ、特にコートジボワールとガーナの農園で作られています。
そしてこの2カ国のカカオ農園は、児童労働と人身売買(強制労働)の温床と言われています。
ガーナとコートジボワールのカカオ農園だけでも210万人の違法な児童労働が行われ、そのうちの1万6000人は近隣に家族がおらず、家族による売買や他国からの誘拐による奴隷とし、強制的労働を強いられていると推定されるそうです。
朝から晩まで働かされ、夜は逃亡防止のために鍵のかけらた小屋に閉じ込められ、トイレのためのブリキ缶を渡される。定期的に暴力を振られ、服を剥ぎ取られた上で体を拘束されて鞭で打たれる。
これが、私たちが食べているチョコレートの源、原料のカカオを作っている子供たちの日常です。
2000年。BBCがドキュメンタリー「Slavery: A Global Investigation」として、カカオ農園の闇を最初にとりあげました。それがその動画です。
18分45秒頃、子供たちが受けた身体的な傷がでてきます。全ての映像をみずとも、その一瞬にカーソルを合わせてみてください。目にして欲しい。それが私たちが楽しむチョコレートの根本です。
その後、他メディアも追随。
結果として米国でも議論され、アメリカ内で販売されるチョコレートのパッケージに、児童労働による原料が使われていないことを証明するマークをつけるための条例が議会へ提出されます。しかし下院を通過したものの、上院を通らず廃案に。
2001年。任意のHarkin-Engel Protocol(ハーキンエンゲル議定書)=最悪の形態での児童労働(無給・性的なものなど→ILO182←)の終結を目指し、それぞれ会社独自での取り組むという議定書に、大手チョコレートメーカや世界カカオ基金代表がサインしました。
これはあくまで任意の議定書なので、拘束力はありません。「終結」期限は何度も延期され、現在に至ります。この議定書には意味がないという人も少なくありません。実際、児童労働は増加している現実があります。
【 トニーチョコロンリーが始まったわけ 】
カカオ農園の現状とこの議定書を知った、当時はいちジャーナリストだったトニーズチョコロンリーの創始者、Teun van de Keuken(通称 トニー)は、チョコレートの始まり、カカオ農園で起きている事実を広めようとします。
というのも、ジャーナリストであった彼の周りでこの話しをする人が、一人もいなかったから。
彼はまず「奴隷を使って栽培されたカカオを作られたチョコレートを食べた罪」として、自身を告訴。不起訴となりますが、そこから彼は児童・奴隷労働を介さないチョコレート作りのために奔走します。
最初は5000枚のチョコレートから始まり、現在ではオランダ国内のチョコレートバー20%のシェアを占めるまでに成長。オランダの多くのスーパーマーケットで買うことができる、チョコレートとなりました。家族が買ったのも、そのうちの一枚だったんですね。
フェアトレードよりも一歩進んだ、スレイブフリーチョコレート。「カカオ産業を変え、奴隷的労働を撲滅し、児童労働をなくすためのチョコレート」が、このトニーズ・チョコロンリーです。
そのために必要なのは、
・カカオ農園で働く人々が見合った対価を受け取り、生計をたてていくこと(=フェアトレード)
・児童労働や奴隷労働を排したシステムをつくり、広めること
・カカオ農園での現状を、チョコレートを買い手にひろめ、買い手の意識をかえること
トニーズ チョコロンリーは、提携農家との取引方法や、そこで起こった問題などを常にモニタリングするシステムを導入しています。
広告費を持たない代わりに、インタビューや講演を行いるそうです。
今回チョコレートと児童労働・奴隷労働をネットで調べていたところ、日本語ですぐにヒットしたのはトニーチョコロンリーの記事。トニーチョコロンリーは世界的草分けのようです。
→「児童労働の撲滅」掲げるチョコメーカーが英市場に進出した理由 by Forbes Japan
→「罪悪感」のないチョコレートで世界制覇を、フェアトレード以上を目指す取り組み by yahoo News
トニーの行動は→ドキュメンタリー映画←にもなっていて、この動画はその予告編。
これをみて、なぜ商品名がチョコ「ロンリー=ひとりぼっち」なのかわかりました。でも、もうひとりぼっちじゃない。たくさんの人が一員になったweです。
この動画の最後に登場する、トニーチョコロンリーの最終目的、「すべてのチョコレートがスレイブフリーのチョコレートになること」。
今は多くの人が、この言葉とチョコレートに賛同しているはずだから。
トニーズ チョコロンリーのお味
今回家族が買ってきてくれたのはトニーズ チョコロンリーの、私好みのダークチョコレート、70%のもの。わかってらっしゃる。
普普通のチョコレートの2倍の厚さがあるかも?と思うチョコレートは、ずっしりと食べ応えがあります。
今回のチョコレートはシンプルなダークチョコレートですが、まさにダークチョコレートらしいダークチョコレート。
同じダークチョコレートでも、配合やカカオの味なのか?千差万別ですが、70%だとダークさもありつつ、ミルクチョコレートのようなまろやかさがあるものが一般的。でもこれは、きっちりダークチョコレート。
酸味やベリーっぽい華やかさやクリーミーさはなし。アメリカのダークチョコレートって、ダークチョコなのに甘いものが多いけれど、それもなし。甘さも控えめで苦味がしっかりしています。
「剛健質実」なダークチョコレートは、本当のダークチョコレート好きさんへおすすめです。
トニーズチョコロンリーのチョコレートには、他にもいろいろ味があるので、ダークダークしているチョコレートが苦手な方は、そちらがおすすめです。
チョコロンリーのお店 @アムステルダム・USA・日本
トニーズチョコロンリーのチョコレート、オランダ、アメリカ、日本(仮)で手に入ります。見かけたら、物は試し。ぜひお試しください。
・オランダ・アムステルダム 🇳🇱
トニーズチョコロンリーはスーパーマーケットなどで買えるようですが、アムステルダムにはオンリーショップもあります。
Tony’s chocolonely super store(トニーズ チョコロンリー スーパー ストア)
この動画はオランダ語ですが、明るく楽しい雰囲気は伝わるはず。行きたい!!!笑
ショップ限定の味や、オリジナルグッズの販売、映画アメリにでてくるような、プリクラみたいな写真機もあるそうです。
Tony’s Chocolonely Super Store →Tripadvisor←
住所 Oudebrugsteeg 15, 1012 JN Amsterdam, The Netherlands
・アメリカ🇺🇸
チョコロンリーは、オランダ以外のヨーロッパ各国でも流通しているようですが、アメリカでも、ECサイトはもちろん、取り扱っているお店が意外と多い!→こちらでチェック←
サンタモニカのパビリオン&Vons。
サウスベイだと、マンハッタンビーチの→Grow(グロウ)←と、ロングビーチの→Mother’s Market(マザーズ マーケット)←。
マザーズはRosecrans と Aviation そば、トレジョさんのと同じ敷地内に、少し前にオープンしたスーパーマーケット。サウスベイの2店舗は、どちらも前にぞいた時は「ほう」という感じどまりだけれど、また行ってみよう!
さらに、アメリカ各地を回っているチョコレートトラックもあるようです。アメリカの拠点がポートランドのようで、ポートランド率高めですが、LAにもきてました。またきてね〜!
この記事を初めてあげたのは、2019年。
その後すぐに、ロサンゼルスの至る所で見かけるようになりました。お値段がたまに安くなるSprouts Farmers Market(スプラウツ ファーマーズ マーケット)。種類が豊富なWhole Foods Market(ホールフーズ マーケット)。他にもヘルシーに気を遣っているお店なら、よく見かけます。
こんなところにも売っていて嬉しい!と思ったこともあったので、その輪はどんどん広がっていますね。
・日本🇯🇵
残念ながら日本では、取り扱いはないようです。。。
ネットでも見つからず。無念。
ぜひ日本にも来てね!
と書いた2019年。
月日は流れ、ついに日本にも上陸!2021年の日本滞在中、PLAZAはじめ、いくつかの場所で目にしました。その時の嬉しさと言ったら!
人権問題については「超後進国」と言われる日本で販路拡大、日本人としても頑張って欲しい!応援しています。
一枚のチョコレートから知った事実
家族から受け取った一枚のチョコレートから、聞いたことはあったけれど、遠い国で起きている感覚でいた耳の痛い事実を掘り下げて。
この時代に「奴隷」「誘拐による強制労働」という事実があること。行われている「児童労働」の数。衝撃でした。
私は出来た人間ではないから、しばらくしたら忘れてしまうかもしれない。自分の中から抜けないように、思い返すことを心がけたい。
選択肢の中に、より人や環境に優しいものがあったのなら、そちらを選ぶ。パッケージの小さなマークは重い意味があるかもしれない、これからは注意深くみてみようと思います。
他は買いません!といえないところが偽善者な私ですが、トニーズチョコロンリーが教えてくれたことは、大きい。
ありがとう、チョコロンリー!
Tony’s Chocolonely →HP←
===参考資料===
→ Harkin–Engel Protocol by Wikipedia
→ The Dark Side of Chocolate by wikipedia
→ ガーナは「チョコレートの国」か? チョコレートにみる「矛盾との向き合い方」by Livedoor News
→ チョコレートのほろ苦い経済 児童労働廃止はかけ声倒れ by Democracy Now!
→ チョコレートに関する知られざるほろ苦い真実いろいろ by Gigazine
→「児童労働1億5200万人」という暴力 by 日経ビジネス
→ UTZ認証と国際フェアトレード認証との違いとは? by わかちあいプロジェクト
→ 子どもの奴隷労働、チョコレート会社が訴訟になっても増加の一途
日本のチョコレートとチョコレート会社
日本は世界第4番目の、カカオ輸入国です。そんな日本のチョコレート会社は、どんな取り組みをしているのか。
児童労働から子供を守ることを目的としたNGO エースの「→チョコレートと児童労働←」によれば、日本のカカオは明治と森永が25%ずつ、購入のシェアを締めるそう。そして日本チョコレート・ココア協会という業界団体があり、各世界組織にこの協会を通じて参加しているそうです。
「森永製菓は2006年7月に、明治製菓は同年9月に世界カカオ基金へ加盟。
2007年現在、カカオ産業における児童労働について森永製菓では、すでに組織内での認識を高めているとのことです。」とありました。(→チョコレートと児童労働←)
さっとネット検索して、出てきた2社のサイト。
明治 →持続可能な調達活動←
森永 →1チョコ for 1スマイル←
どちらの会社も「支援」をおこなっていて、その内容が書かれていました。
トニーズチョコロンリーの取り組みや現状を垣間見てしまった後だと、どちらも現実離れした平和さとキレイさを感じてしまうサイトでした。子供が読むには、ちょうどいいかもしれないけれど、このキレイさが時として他人事感と距離感と罪悪感軽減をうむのではと思ったり。
そして、会社は具体的な数字は把握していないのではという疑問もわきました。
寄付など「したこと」については細かく書かれているけれど、問題があったことに関しては、数字や事案が全然見つけられません。問題点も「したこと」も並べた方が、その改善を毎年示した方が、企業としての信頼度は増すと思うんだけれどなぁ。
フェアトレードでないということは、幕末に黒船がやってきておこった不平等条約と同じこと。
日本はフォアトレード=公正な貿易に関しては、後進国を超える「超」後進国と言われています。消費者の興味がそこにないので、企業が投資してもインパクトを見込めないから動きが鈍いそう。
前出のハーキン エンゲル議定書のことを読んでいるとき、「この議定書は、大手チョコレートメーカーを動かす力はない。会社を動かしているのは、消費者からのプレッシャーだ。」という言葉をみました。
今の幾つもの記事を読んだ自分の気持ちをみてみると、この言葉がよくわかります。消費者からのプレッシャーが、日本にはないのでしょうね。
そんな中で、上に貼ったトニーズチョコロンリーのドキュメンタリー映画予告編の中に登場するネスレの、日本ネスレが販売するすべてのキットカットには、
こんなマーク、UTZ認証がついています。
(右下の、タグの中にあります。)
UTZ認証は、農作物の持続可能な調達のための国際認証で、ヨーロッパでは広く知れているもの。
労働環境、特に児童労働に関しては厳しい基準をもうけているものの、フェアトレード認証とは違い、最低取引価格や農薬・化学肥料の制限はない認証でもあり、大きな問題点もありますが、ないよりはあったほうがいい。
そして「キャンペーン」で期間限定のようですが、森永では 1チョコ for 1スマイルという、一枚のチョコレートにつき一円寄付しますという、フェアトレードのカカオを使ったチョコレートの販売があるようです。
(写真は森永のサイトからお借りました)
右上にある
このマークがフェアトレード認証マーク。
UTZ認証もフェアトレード認証も、それぞれ問題ととても厳しい現実があるようですが。→焦点:チョコ原料の甘くない現実、認証制度はカカオ農家救うか←世界的にみたら動きの鈍い日本で、日本の企業が消費者に見える形で動いていたことが嬉しい。トニーチョコロンリーの始まりと同じで、「認知」は大切です。
森永創業者の伝記漫画を、持っていた私笑。 そこにはキャラメルのできる過程が描かれていましたが、確か、子供の笑顔のために、作ったとあった覚えがあります。森永のキャラメル、大好きです。私もたくさんの笑顔をもらったから、その笑顔の輪が世界に広がることを、切に願っています。
===日本で手に入るフェアトレードチョコレート===
アメリカではどこでも見かけるようになったフェアトレードチョコレート。日本で買うなら、カルディのオリジナルフェアトレード板チョコが一番身近なきがします。
カルディ、やるなぁ!
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本日の記事はものすごい長文!
読んでくださったみなさま、ありがとうございました!