2023年、ロサンゼルスで迎えたお正月とお節料理
改めまして、あけましておめでとうございます。
今年もしろくろめがねをどうぞどうぞよろしくお願いいたします。
ここ最近雨と曇りが多いロサンゼルスですがお正月は晴れ間もあって、気持ちの良いお正月となりました。皆さまはどんなお正月を過ごされましたか?
今年は日の並びがいいと言えばいいのか、アメリカは12月31日から2日までお休み。LA周辺では7日から始業する学校が多いので、三ヶ日といかないまでもゆっくりされている方や、旅行に出掛けている方も多いのかもしれないと想像しています。
私は今年はロサンゼルスでお正月を迎え、年末におせち料理を準備したお正月でした。
ここ数年は年末まで日本にいて年末はおせちを作る気力や余裕がなく、何も作らなかったり軽めのお節料理が続いていましたが、数年ぶりにきちんとお節料理を用意しました。
我が家のお節料理、お品書き
我が家の今年のお節料理は、こちらです。
一の重
栗きんとん
海老の酒蒸し
かまぼこ
黒豆(祖母レシピ)
伊達巻き
数の子(参考レシピ )
田作り
二の重
きんぴら
お煮しめ(ごぼう、椎茸、里芋、ちくわ、たけのこ、こんにゃく)
銀だらの焼き物
なます
酢蓮
お雑煮
エビカツ
いつの頃からか作るようになったエビカツ。今年も作りました。
今年は腑に落ちることが多かったお節作りでした
おせち料理を作り始めて7年目。やっと、スタートラインに立てた感じがありました。作りおわった後やり切った感だけではなく、未来へつながる何か、小さな道しるべが初めて見えたようでした。
それは長いこと納得できるものが作れなかったお煮しめが、初めて美味しくできたことが大きかったのかもしれません。
我が家は筑前煮や炒り鶏ではなく、ひとつずつ味をつけていくお煮しめです。
他のお節料理同様、私のお節料理は祖母が作っていたものがもとにあり、ある機会のおかげで祖母に聞いた作り方のメモが残っているんですが、今回はそれを見つつ、数年間のおせち作りの記憶と祖母が亡くなった時に貰ってきた「きょうの料理」を見ながら作りました。
味が過去最高に美味しくできたのはもちろんなんですが、メモの意味(祖母の言葉)がやっと肌感をもって理解できたと思えた一瞬がありました。(嬉しかった!)
他にも、「きょうの料理」に書かれていた分量以外の料理の味を決めるポイントが、腑に落ちることが何度かありました。お出汁の取り方、味の決め方。経験は力というけれど、味を決める時にこれだと思えた瞬間は今までなかったこと。わかるとも思っていなかったから、あの時の驚きと言ったら。7年目にしてやっと訪れました。
年に一度しか作らないお節料理でも、年々わかってくるものなのですね。今年のおせち作りには、嬉しい驚きがたくさんありました。
お節作り、失敗もしっかりしました笑
と、ここで締めたら綺麗に終わりますが、私のことなので実情はバッタバタでした。はい。
お節料理作り終わった〜!!!と思ったら、お煮しめに入れるつもりの筍を忘れていたことに気がつきました。夕飯後それを煮始めたわけですが、一度切れた緊張の糸戻らない。見事に焦がしました。
ここでやり直すなり何かして、せめて鍋を洗って年を越すのが普通でしょう。ですがすでにやる気スイッチOFFになっていた私はお鍋そのまま就寝。
新年、台所で真っ先に目にしたのが焦がした鍋でした笑。
焦がしちゃうところも、そのまま寝ちゃうところも、ダメだなぁと思うけれど、、、しょうがない笑。
他にも冷蔵庫に入れっぱなしで水分が飛び、普通の鰹節よりもさらにこっちこちになっていた鰹節を使い切るべく、鰹節削りが行方不明(誰も使わないのに、謎すぎる・・・)なんてトラブルもありまして。一度蒸して包丁で削るを繰り返しました。見たことも聞いたこともない荒技出動でした笑。
そんな鰹節でとったお出汁が桁違いに美味しかったから、この話もしちゃいます。
海外在住の皆様の中には鰹節が冷蔵庫に眠っている方もいらっしゃるのを知っています。皆さま、絶対それを捨てちゃダメ。美味しいから!腰を据えて削ってお出汁にどうぞ。ふわふわした削り節ではなく、粉でも写真のように分厚くても大丈夫。出汁パックはもちろん、削り節よりも格段に美味しいお出汁が取れます。
鍋を焦がし、鰹節を蒸して包丁で削るなんていう荒技に出たりしましたが、何事も経験ということでくくってしまいます笑。
完成写真ではさらっと作ったように見ますが、まだ7年目。まだまだまだまだ。今年もドタバタで作ったお節料理です。
過去、今、未来。続く道の一点が今年のお正月
祖母の味を追っているつもりでも、納得できたときは祖母の味からずれて自分の味になっているのかもしれないと思います。けれど小さい頃毎年食べていたお料理には記憶が宿っていて、気持ちも蘇る。話していても、食べていても、ふとした瞬間に過去がよぎる。
思い出の曲を聞いた時に過去がよぎるように、思い出のトリガーになっているお節料理。そのお節料理を試行錯誤しながら作ることは、今は記憶の中にしかいない家族に語りかけるような時間でもありました。
そして今年はいつかの未来が見えた気がしている。
“・・・いのちの「在った」「在る」「在らしめ給え」を意識するのが正月ではないでしょうか。”
これはきょうの料理 2007年12月号に載っていた辰巳芳子さんの言葉です。辰巳芳子さんの真意と合っているかは分かりませんが、お正月は過去と今と未来のつながりを意識する日。自分が食べた祖母の味を思い出しながら作って、未来の私へ繋げている「今」。
年にたった一度、毎年同じ料理を作りお祝いする意味が、少し自分に入ってきたように感じた今年のお正月でした。
ハレの日の器、背筋が伸びる器
食器を含め「使ってなんぼ!大事なものほど日常づかいすべき!」と常々思っている私ですが、お正月にしか使っていないお重とお椀を前にして、今年はハレとケという日本人の伝統的な価値観を感じました。
当たり前のように用意するお節料理には、ご先祖さまが込めた切なる願いが宿っている。それが実を結んだから(少なくとも子孫繁栄とか)私がいる。
神様に願うように、一年で最も厳かに、背筋が伸びる日。新年を迎えるにふさわしいしつらえだからこそ、「お祝い事」になるのかもしれない。
年齢なのか。タイミングなのか。今年は大切なお重やお椀を前に、そんなハレの日の意味を考えました。
ロサンゼルス、アメリカに住む先人への感謝
LAで、アメリカで。生きてきた先人へ感謝です。
値段が高い!質が悪い!なんてこともありますが、こうして日本にいるかのようなお正月の用意ができる。日本のものが欲しい時に手に入る。
LAの地でコミュニティを築き守ってきてくれた方達がいたからこそ。
日本人、日系人、日系の会社やコミュニティに心からの感謝を!!!
2023年、今年もどうぞよろしくお願いいたします
今年は卯年。卯年はぴょんと跳ねるように飛躍の年と言うそうです。私くろと、しろくろめがねにとっても、飛躍の年となったらいいな。
そして。このブログを訪れてくださる皆様の一年が、自分の本当に望むところへぴょぴょんと跳んで、たどり着く一年となりますよう願っています!いえ、きっとなりますよ!
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